日本体育大学の注目選手を紹介、今回は水球部の渡邉太陽選手。渡邉選手は小学生から水球をはじめ数々の成績を残す。大学では2023年度主将としてインカレ26連覇を果たす。日本代表としても活躍し第19回杭州アジア競技大会では53年振りの優勝とパリ五輪出場権獲得に大きく貢献した。2024年2月のドーハ世界水泳選手権や7月のパリ五輪出場を控えた彼は一体どんな活躍を見せるのか。一途に最強を求め続ける彼の強みとその魅力に迫っていく。

・名前    渡邉太陽
・生年月日  2001年10月4日
・身長    180cm
・所属    日本体育大学 体育学部体育学科4年 / 水泳部水球ブロック2023年度主将
・出身校   京都府立鳥羽高等学校
・ポジション FP(フィールドプレイヤー)

▶︎経歴

・国内大会成績(一部抜粋)
<2020年>
第96回日本学生選手権水泳競技大会水球競技 優勝
<2021年>
第97回日本学生選手権水泳競技大会水球競技 優勝
<2022年>
第98回日本学生選手権水泳競技大会水球競技 優勝
第98回日本選手権水泳競技大会水球競技 準優勝
<2023年>
第99回日本学生選手権水泳競技大会水球競技 優勝(26連覇)
第99回日本選手権水泳競技大会水球競技 準優勝

 

・国際大会成績(一部抜粋)
<2018年>
アジアジュニア選手権 優勝
<2019年>
FINA世界ジュニア選手権2019 8位
<2021年>
FINAワールドリーグスーパーファイナル2021 5位
<2022年>
FINA第19回世界水泳選手権競技大会 9位
ハンガリー国際トーナメント BENUCUP 4位
AASFアジア水球選手権 優勝
<2023年>
WORLDAQUATICS WATERPOLO WORLDCUP 出場
WORLDAQUATICS 世界水泳福岡2023 11位
第19回杭州アジア競技大会 優勝

▶︎日本水球界を支える日体大水球部

水球とはFP(フィールドプレイヤー)とGK(ゴールキーパー)1チーム計7名でコート内のゴールに向かいシュートを決め得点を競う競技。オリンピック種目で、相手との激しいプレーや瞬間的な鋭いシュートが特徴で「水中の格闘技」とも呼ばれる。彼の在籍する日本体育大学水球部は376連勝の無敗記録を残し今年はインカレ26連覇を果たすなど、例年日本代表選手を輩出する水球の強豪校。

▶︎水球が生きがいに

4歳から地元のスイミングスクールに通っていた彼は、小学2年生のころに特別コース(競泳、水球、AS)に行く選択肢をもらい、そこで水球と出会った。水の中でボールを投げれることが「楽しい!」という感情から水球を始めたという。そんな彼にとっての水球とは「自分自身を変えてくれたもの」であり、ほとんどの時間を水球とともにする彼にとっての生きがいだと語った。

▶︎ジュニア時代の今も忘れられない思い出

水球ジュニア時代は地方での試合が多く地元の京都から毎年大きな荷物を持ってチームメイトと全員で遠征に行った。「遠征先ではご飯を大量に食べさせられる夜ご飯や、次の日の試合に向けて宿泊先のベッドの上でみんなでミーティングをしました」と、思い出の一つにあげた。大学生になってからはこういった機会がなくなり、ジュニア時代の楽しかった記憶として鮮明に残っていると語った。

▶︎強豪日体大へ入部を決めた理由

中学3年生の時、日体大出身だったコーチから大学時代の話を聞き日体大水球部に興味を持ったという。当時彼の憧れでもあった水球男子元日本代表でリオ五輪ではエースとして活躍した竹井昂司さんも京都から日体大に進学したということもあり、日本体育大学水球部に入部を決意したという。

▶︎水球部主将としてインカレ26連覇を果たした想い

今年9月に迎えた第99回日本学生選手権水泳競技大会水球競技(インカレ)に日体大水球部の主将として挑んだ。1年生からスタメンとして出場してきた渡邉選手にとって、負けられないプレッシャーを強く感じたという。キャプテンとして日体大全体を強くすることを第一に考え、ミーティングを重ねたり練習中に声をかけ合いチームとして成長できることを心がけた。
優勝を目前にした決勝戦では「流れの悪い時もあったが焦ることなくやるべきことをやった。優勝・連覇が決まった瞬間は一安心、ホッとした感覚」と嬉しさ以上に安堵の気持ちがあったと当時の胸の内を明かした。

▶︎日本代表として記憶に残る試合

今まで数多くの国際試合に出場してきた渡邉選手には忘れられない試合が2つある。
1つめは初めてA代表として参加したワールドスーパーリーグファイナルの初戦だ。彼は補欠登録だったものの初戦に出場する機会をもらったという。日の丸を背負い体の大きな海外選手を前に全てが初めての舞台だったことから緊張でどうしたらいいかわからなかったという。ジュニアとは一味違う選手たちに戸惑いながらも、経験豊富な選手たちと渡り合ったことで改めてこの舞台で戦いたいと決意できた出場となった。
2つ目は10月に行われたアジア大会の決勝戦。
「パリ五輪の切符をかけ、歴代の先輩選手らの思いものせた大切な試合だった」負けられない一戦、優勝の瞬間には心の底から叫び嬉しさがこみ上げたという。表彰式で「センターポールに高く登る日の丸と会場に響く君が代は今でも鮮明に覚えている。まだまだ水球をしたいと思えた瞬間でした」と語った。

▶︎日本代表として挑む世界水泳、パリ五輪への意気込み

日体大を来年春に卒業予定の渡邉選手は、日本代表として2月の世界水泳、7月にはパリ五輪の2つに出場する。近々に控えた世界水泳については、「なんとしてでも予選を突破しベスト8の目標に向かってチームで戦っていきたい」と意気込みを語った。
またパリ五輪についても、五輪に出るという夢は大学に入学してから目標に変わったという。夢の舞台に対し、「自分の武器であるスピードとシュート力を生かしてチームに貢献していきたいと思います。目指すはベスト8、メダルに食い込んで行きたい」と掲げた。高い目標に挑み続ける渡邉選手の活躍に今後も注目していきたい。

▶︎日本代表を目指す水球のジュニア選手へ

全国の日本代表を夢見る若い水球プレイヤーに向けて彼は「水球は楽しいスポーツです!勝つことも大事ですがまずは楽しむことが1番です。練習を好きになって目の前のことに全力でチャレンジしてください!」と彼らしい言葉を送った。

 

(取材・文:田原杏佳)